人事労務だより2024年5月
厚生労働省は、今年7月の閣議決定をめざしている新たな過労死等防止対策大綱の素案を作成しました。
素案では、国が取り組む重点対策として、時間外労働の上限規制の遵守徹底や、脳・心臓疾患または精神障害に関する労災保険支給決定が行われた企業における再発防止対策の強化、勤務間インターバル制度の周知などを掲げました。
上限規制については、4月から建設事業や自動車運転業務などでも適用が開始されたことから、労働基準監督署で遵守徹底を図ります。建設業では短い工期設定、自動車運転者では長時間の荷待ちなどが課題になっているため、施主や荷主などの取引関係者に対しても、長時間労働改善に向けた協力を呼び掛けていきます。
一方、過労死等の再発防止対策の取組みとしては、これまで行ってきた発生事業場に対する監督指導・個別指導に加えて、企業本社における全社的な再発防止対策の策定を求める指導を実施します。企業本社への指導は、事業場を通じて実施します。
さらに、一定期間内に複数事案を発生させた企業に対しては、企業の本社を管轄する都道府県労働局長から「過労死等の防止に向けた改善計画」の策定を求め、同計画に基づく取組みを企業全体に定着させるための助言・指導(過労死等防止計画指導)を実施するとしました。